乾癬と診断されてから寛解に至るまで
約10年前、下肢にできたひとつの赤い発疹…いつものことと自己判断し、せっせとステロイド剤を塗り込むと、いつものようにすぐにきれいな肌に戻りました。
またしばらくすると、赤い発疹がぽつり、ぽつりと増えてきました。そんな繰り返しでステロイドを塗る回数も量も増え、そしていつしか両足の下肢に出来てしまい何年もかけてじわじわと広がりました。
あの頃の自分に会えるのならば、”いますぐにその薬を断ち切れ!”と言いたいです…
それにしても、あちこちの皮膚科に行きましたが、いろんな患者が来て忙しいのかステロイド剤について一切の説明もなく、ただただこれを塗りましょうというだけで終わりでした。大半の原因不明の皮膚トラブルはステロイド剤という万能なクスリを強く信仰しているように感じました。
最後に診察に行った皮膚科では、まあステロイドは断ち切りましょうというスタンスで治療を始めたのですが、お医者さん自身も乾癬は治らないと思い込んでいるようですし、実際薬では治せない…なのに、効果のない塗り薬、しかも副作用があるきつい薬を処方するだけのことでした。
ここで、違う薬に替えたことでステロイドをようやく使用をやめることになった訳ですが(何度も言いますが、約2年前のこと)、いっきに悪化しました。
下肢のみならず、首よりしたの全身に広がったのです。
腕にぽつ、ふとももにぽつ、お腹にぽつ、背中にぽつ…その赤い発疹がどんどん増えて、そのひとつひとつの発疹が、インクを紙に一滴落として、じわじわと広がり、その広がった染みが近くの染みとつながり、大きな大陸のように成長していったのです。
下肢の乾癬の皮膚の状態しか撮影していませんが、実際は全身の3分の1くらい紅斑が広がりました。
まだ下肢にだけ紅斑があったときも、ただお医者さんの言われるがまま,
別の塗りくすりを塗りながら、1~2週間おきに紫外線治療を受けました。
何度か受けましたが、正直効果はあらわれませんでした。(もっと続けていたら、効果もあったのかもしれませんが、その前にシミだらけになりそうですし、皮膚がんの懸念も感じました)
”一生治らない病気”と言われたのに、なんのための治療なのかと疑問を感じ始め、そこから乾癬に関する書籍やネットで調べまくりました。
そんな中で、克服された方のブログでの生の声は、本当に勇気づけられましたし、説得力がありました。説明もなくステロイドを処方するだけのお医者さんよりも、顔も名前もしらない方のブログのほうがよほど効果があると確信しました。
それが、食生活改善と脱ステロイドでした。
正直、簡単そうですよね?
実際は、今までなんの疑いもなく何十年も続けてきた食生活をがらりと変えるというのは、かなり大変でした。わたしは当の本人ですから、意欲はまんまんなのですが、なにも関係がないと思っている家族を説得するというのが、こんなにも大変だと思いませんでした。
病気を機に、なにかへんな宗教に騙されてるんじゃないかと、少し疑っているようでした。じっくり説得している時間もなかったので、”わたしはこうしていく!”という強い意志表明にしぶしぶ従った家族でしたが、わたしの皮膚の状態を目の当たりにして、納得するしかなかったようです(*^^)v
最初の3か月は、ほんと日に日に悪化し、しまいには足のリンパが腫れ上がり、足首が象のあしのようになりました。もうすぐ外にも出られなくなるような姿になるのかなと覚悟しながら、でもぜったいに治る!いやこの病気を叩き出してやる!!と強く意識しました。そんな中でも仕事は続けていたので、気も紛れるし、逆に明るく接するように心掛けました。
いよいよ手の甲にも広がり、指先の開いた手袋を着用して仕事をしていたのですが、手袋のすそからパラパラと鱗屑(ふけのような皮ふ片)が大量に出るようになり、接客業でしたので、お客様に不快な思いをされて、クレームになるのも辛いですし、治療に専念するために退職しましたが、結果、自宅でゆっくりと治療に専念できたこともよかったと思います。
とにかく一番酷かったのが、食生活を改善し始めてから、3か月くらいのころです。
そのころは、本当に鱗屑が辛かったです…
わたしが歩くいたるところ、ふけだらけで、ベッドもお風呂もふけだらけ…
家族に不快な思いをさせたくなくて、毎日なんども掃除機をかけていたので、家族は気付いてなかったようですが、これが本当にこのころの最大のストレスでした。
象のあしのように腫れ上がり、身体じゅう乾癬の紅斑におかされ、いちどだけ本当にこのままで大丈夫なのかと不安になり、また近くで評判の皮膚科へ一度診察に行きました。
朝早くから患者さんが診察の順番を確保するために、何人も並んでいて、朝いちに受付しても診察が夜になるような、とても評判のいい先生の病院でした。
受付時に、乾癬であるむねを伝えたところ、早く診察してあげたいという先生の意向を伝えられ、優先的に診察してもらえることになったのです!
このときは、とうとう救いの神があらわれたと希望のひかりが見えました。
思ったより、先生は神妙な面持ちで、全体を見たいというので、半裸になり、
”だいじょうぶ、治るわよ”という言葉を期待しながら、先生の次のことばをじっと待っていました。先生は、絶句しているような硬い表情でパソコンのカルテをしずかに入力していました。そして、いよいよ先生がふりかえり、わたしに一言…
”ステロイドでぱっと治しちゃいましょう!温泉入れないのもいやでしょう?”
そういうやいなや、わたしのからだに、たっぷりのステロイド軟こうを塗ろうと待ち構えた看護師さんが横に立っていました。
”え…?”
看護師さんの軟こうたっぷりの指が近づき、もう観念しようか…そう思った瞬間、なにかに突き動かされたように、
”考えさせて下さい…”
と言うと、先生もあきれ顔で、わたしがなにを考えているのか理解できないようすで、無言で見送られました。先生なりに、わたしのために、ベストな治療を提案してくれたのかもしれません。でも、
”自分のからだは、自分がいちばん知っている”
と、強く感じたのです。
一般的な治療として、ステロイドを使用することできちんと完治されるかたもいるかもしれません。ですが、私の場合、あのときのとっさの判断は間違っていなかったと断言できますし、もし食生活改善での自然治癒を疑い、ステロイド治療に戻っていたら、いまのわたしは間違いなく、いません。
この日から、疑うことなく徹底して食生活改善に取り組みました。
3か月位を境に、わたしの皮膚が日ごとによくなり、自然治癒していく様をみて、半信半疑だった家族もようやく納得したようでした。
わたしの決死の人体実験により、なにより家族の健康状態もかなり変化がみられたので、どのような変化があったのかを次回まとめてみます(*^_^*)